目指すキャリアこそ抽象的に考える

· キャリアコンサルティング

キャリア教育も盛んとなり、早い段階で目指すキャリアを考えている人も増えてきました。目標のキャリアに向かって努力している姿はキラキラして見えます。しかし、具体的な仕事のキャリア目標が、必ずしも満足をもたらす訳でもないという話と、その対応策です。

○○になりたい!というキャリア目標を持つメリット

今では小学生からキャリア教育を行うようになり、かなり早い段階から将来的に目指す仕事を決め、具体的なプランをイメージしている人も増えてきました。キャリア教育が盛んになる前でも、将来の夢を考えるチャンスがあり、小さい頃からの夢を実現して活躍している人も多くいます。

目標に向かって具体的なイメージを持ち、すべきことを明確にして進むことは、目標を実現するために大切なポイントです。情報収集をはじめ、行動を起こすには具体的なイメージがないと前に進みませんし、各種のキャリアを選択する際も目標があることで、適切な選択ができるようになります。一般的に易きに流れがちなところを、目標があることによって自分を律することもできます。

やりたい仕事を具体的に目指すことのリスク

やりたい仕事は、あくまで外部からのイメージ

やりたい仕事につくことを目標とすることににはリスクを伴います。目標とする仕事は一般的に外部からのイメージとなってしまうので、実際の仕事内容と異なる場合があります。

特に「やりたい仕事につくこと」を目標にしてしまうと、その仕事に就いた後に、思っていたものと違ったとなってしまうリスクがあります。

やりたい仕事が将来あるとも限らない

また、変化の激しい昨今、今まである仕事が将来も残っているとは限りません。今後10~20年程度で、米国の総雇用者の約47%の仕事が自動化されるリスクが高いとした研究結果をご存知の方が多いでしょう。

Carl Benedikt Frey† and Michael A. Osborne

"THE FUTURE OF EMPLOYMENT: HOW SUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION?∗"

https://www.oxfordmartin.ox.ac.uk/downloads/academic/The_Future_of_Employment.pdf

では、やりたい仕事を考えなくては良いのではないか、という結論になってしまいそうですが、もう一歩深く考えることで、将来の仕事が見えない時も、思い通りにキャリアが進まない時にも役立つアイデアとなるのです。

抽象的に仕事を考えるイメージ図

できるだけ抽象的なレベルで、やりたい仕事を考える

抽象的なレベルで考えるとは、具体的な仕事・職種名ではなく、その仕事のどんなところが魅力なのかを考えることです。

例えば、弁護士を目指したいと言っても、「頭を使った仕事をしたいから」「お金を稼ぎたいから」「世の中の困っている人を助ける仕事をしたいから」「法律が面白いと思ったから」「社会的地位の高い仕事がしたいから」など色々な理由が出てきます。

キャリアの選択においては、思い通りにいかない中で、何らかの選択をしなければならない場面も出てきます。その時に、選択肢を広げるのは、抽象的な実現目標です。例えば、「世の中の困っている人を助ける仕事をしたい」というものが根本にあるのであれば、弁護士にならなくても、困った人の存在とその解決を仕事とするものは多く存在している、と気が付きやすくなります。

キャリアの相談を受ける中では、根本の価値観については、変化しない人も多いことを感じます。

社会人になってしばらく経ってキャリアの岐路に立った時に、今の仕事を選んだ理由・学生時代になりたかった仕事を思い返してみると、ヒントが見つかるかもしれません。